友人のK君が言うには、彼は物心が付くのが人より少し早かったそうだ。
その時の記憶を手繰ると、最初に気づいた時は生家の天井を眺めていたらしい。
電灯は常夜灯だけが点いており、部屋の中は薄暗かった。母親はどうやら隣室にいるようだ。
しばらくして天井にも飽きて、視界を左右に振ると右手側にベランダへ続く窓が見えた。
すごく眩しいなあ、そう感じたK君は窓辺に不思議な物を目撃したという。
ベランダから何やら光り輝く大きな物体が、夜空へ飛び立たんとしていたのだ。
こちらに向いている後部と思われる箇所では、4つの赤く輝く円形のパーツが発光をしていた。
あっと思った瞬間、その物体は極彩色の光の尾を引いて天空へと消えていったそうだ。
離陸した瞬間の光で包まれた部屋の光景が、鮮明に記憶に残っているという。
まだ言葉が喋れなかったK君は、その興奮にまかせるまま近くのちゃぶ台によじ登り仁王立ちになった。
物音に気づき駆けつけた母親に怒られて、すぐさま卓から降ろされたらしいのだが、何故K君がそのような行動に出たかは残念ながら伝わらなかったという。
炉辺談話
体験者が言葉が喋れる用になる前、という話はこれが初めてだ。
K君曰く、このときに目撃したUFO(?)の後ろ姿は、日産の「R32 GT-R」のテールランプのような造形だったという。