10代のころ〇〇〇〇〇〇〇というテーマパークで働いていたことがある。
色々と噂がある場所なのだが、僕も勤務中に不思議なことを体験した。
荒れ果てた近未来の様相を呈したテーマパークだったのだが、その中の人気アトラクション「B」が僕の配属された場所だった。
これは無線で管理されるガジェットをお客さんが実際に身に着け、施設内を歩き回って様々なミッションに挑戦するという当時としては中々風変わりなアトラクションだ。
そして、そのアトラクションの後半にミラーハウスに挑戦するというミッションがあった。
ミラーハウスには三又の棒をガシャリと押して中へ入る、所謂回転ゲートと呼ばれるものが出入口に設置されており、スタッフはこのゲートと赤外線のセンサーでお客さんの動線を把握していた。
入口を通過すると本部のモニターに通知が入り、脱出して出口のゲートが反応するとさらに通知が来て、スタッフがエンディングの演出を用意するといった手順だ。
業務中は何度もその工程を繰り返すのだが、一日に数回、入口のみが反応するということがあった。
入場の通知は来るのだが、いつまでたっても退場の通知が来ない。
ゲートのバーはかなりしっかりと設置されているので、子供が下を潜るような隙間もない。
不思議がっていると、先輩が「あまり気にしないで、出るところの反応だけ見ていればいい」とアドバイスをくれた。
炉辺談話
このテーマパークは今でも存続している。
しかし、残念ながら僕が働いていたアトラクションは廃止されてしまったようだ。
ここは、人によってはそれだけで一冊本が書けるくらいの噂がある場所なんじゃないだろうか。
営業が終わると、ミラーハウスの中をモップがけする作業があったのだが、皆嫌がっていたのが懐かしい。
妄想だが、ミラーハウス内は鏡で満杯なので、もし幽霊がジョジョのスタンド「ハングドマン」のように光に近い存在なのだとしたら、乱反射して延々と出口から脱出できなかったのかもしれない。